ボーカルマイクは大きく分けて
「ダイナミックマイク」
「コンデンサーマイク」
この二つです。
さて、今回は宅録用ボーカルマイクのご紹介ですが、この二つ、一体どちらが宅録用に向いているのか?
それぞれの特徴を比較し、おすすめのボーカルマイクを見ていきましょう♪
目次
ダイナミックとコンデンサーの特徴
この二つのマイクは何が違うの?
ということで、まずは二つの特徴の大きな違いをまとめてみます。
ダイナミックマイクの特徴
形 | カラオケにあるマイク |
音を拾う方向 | 単一指向性(マイクの目の前) |
電源の有無 | 無 |
音量 | 小さい |
価格 | 安い |
ダイナミックマイクのメリット・デメリット
■メリット
・価格が安い。
・コンデンサーに比べて頑丈。
・録音に必要な機材が少ないからすぐ録音できる。
・目の前の音だけ拾うので環境音を気にしなくていい。
・練習、レコーディング、宅録、ライブなど幅広く使える。
■デメリット
・コンデンサーのように繊細な音が拾えない。
・コンデンサーに比べて音が粗い。
・ライブ用のダイナミックマイクは大音量に強いが、宅録では小音量のレコーディングのため十分な音量が得られない。
コンデンサーマイクの特徴
形 | スタジオにあるマイク |
音を拾う方向 | 無指向性(マイク周辺) |
電源の有無 | 有(ファンタム電源) |
音量 | 大きい |
価格 | 高い |
コンデンサーマイクのメリット・デメリット
■メリット
・声の息遣いや繊細な音まで録音できる。
・宅録のような小音量でも音量を稼げる。
■デメリット
・価格が高い
・ダイナミックに比べて繊細に扱わないと壊れる。
・録音に必要なものが多い(マイクスタンド、ポップガード、マイクプリ、コンプレッサーなど)
・マイク周辺の音も拾うので防音設備が必要(生活環境音が入るため)
・スタジオレコーディングに特化しているため、持ち出しが不自由。
ダイナミックとコンデンサー宅録するならどっち?
それぞれの特徴とメリット・デメリットを踏まえて「宅録するならどちらか?」というのを見ていきましょう。
スタジオではなく、あくまで宅録という環境で比べてみます。
正直どちらのマイクがいいというものではなく、使用用途や環境、どこまでのクオリティーで録音したいかによると思います。
簡単に録音するならダイナミックマイク
ダイナミックマイクは初心者の方におすすめします。
価格も低めで入手しやすく、取り扱いもコンデンサーのように気を使うことなく、接続もインターフェイスとPCのみ。
単一指向性だから「車の音」「洗濯機の音」などの環境音を気にせず気軽に録音できます。
しかもダイナミックなら手持ちで大丈夫ですし、スペースも必要ありません。デモテープ用だったり、とりあえず気軽に録音したいという初心者の方にはおすすめですよ♪
防音設備が自宅にあるならコンデンサー
少しでもプロのようなクオリティーを求めるなら、防音設備を整えましょう。
ダイナミックは使用用途の多さから、とても便利なマイクですがレコーディングにおいてはやはりコンデンサーの方が上です。
こちらの記事でも最初の1本目にコンデンサーマイクをおすすめしています。ご参考ください。
ということは宅録ならコンデンサーで決まり!と思いがちですが気をつけないといけない点がいくつかあります。
・自宅に防音設備が必要。
・繊細な機械なので慎重に取り扱う必要がある。
・※1、マイクプリ、コンプレッサー、インターフェイス、スタンド、ポップガードなどの接続機器が必要。
コンデンサーのデメリットでもあげたように綺麗な録音ができる代わりにダイナミックのような気軽さはありません。
中でも自宅に防音設備を整えるのが非常に困難で、そんな部屋を作るとなるとウン千万もの費用がかかるというのは難点。
しかし完璧な防音部屋とまではいきませんが、ある程度の防音設備を格安で整える方法もありますのでご紹介しておきます。
簡易防音ルーム ライトルームプラス Lサイズ
吸音ルームをチェックだけで組み立てられる自宅用のボーカルブースです。値段は少し高いですがウン千万をかけて防音ルームを作るよりはかなりお手軽でしょう。
高さがLLサイズで2mあり、中も思いのほかゆったりできる仕様。
また中には「W90 W50」のデスクがあり、機材を置くこともできます。
チャックで組み立てるだけのコンパクトスタジオ。高い吸音効果。工事いらずで設置可能。
少し値段を落とすとSサイズというものがあり奥行きがコンパクトになります。
コンパクトな楽器類(ギターやフルート)声楽、を小さいスペースで練習したい方におすすめのサイズ。
こちらの記事でも一部紹介しています。
予算を抑えるなら~iSK RF-1 リフレクションフィルター
さらに予算を抑えると宅録時の反響、反射音を抑えてくれるボーカル専用のリフレクションフィルターです。
吸収性の高いフォームを5ピース、メタルパネルにセットし角度の変更もできるので、マイクを覆うようにセッティングできます。
また折りたたむこともできるので持ち運びに便利ですが、重量は見た目通り重いです。ですが宅録用なら特に持ち運ぶ必要はないので、その問題はクリア?ですね。
ボーカルブースを丸々組み立てるより、簡単で使わないときはコンパクトに収納できるというのはうれしいポイント。
ただ一つ原稿が見れないのが難点ですが、その他の機能面を考えると宅録ならこれで十分かもしれないですね。
ダイナミックとコンデンサーの定番おすすめマイク6選
ダイナミックとコンデンサーの違いがわかったところで、次におすすめ定番マイクを見ていきましょう♪
宅録において、どちらが正しいということはないので、環境や予算、どれぐらいのレベルで録音したいのかを考えてご参考ください。
定番ダイナミックマイク
ダイナミックマイクの初級~上級までを見ていきましょう!
◆【初級】audio-technica AT-X11
■コストパフォーマンスを考える人におすすめ
fa-thumbs-o-up抑えておきたいポイント!!
初心者用でおすすめなのがaudio-technica社のダイナミックボーカルマイクロホン「AT-X11」
ブラックメタル仕上げでシック。とにかくめちゃくちゃ安くコスパ良好です♪
しかし、その価格帯からか、スイッチのON、OFFノイズや音が若干こもる(低音によってしまう)特徴があります。録音用として使用するより、とにかくマイマイクをもってみたい!という方や、お試しで宅録を経験してみたい!という方におすすめでしょう♪
また家カラオケ用としても十分満足できそうです。
【中級】SHURE SM58-LCE
■バランスを重視したい人におすすめ
fa-thumbs-o-up抑えておきたいポイント!!
現在ダイナミックマイクの主流と言えばド定番のこのマイク「SM58」
アマチュアからプロまで幅広く使用されておりライブマイクやスタジオレコーディング用としても信頼と実績から世界標準のボーカルマイクとされています。
音質のバランスがいいので、とくにこだわりがなかったり、どれがいいかわからなければ、とりあえずコレ一本あれば間違いないでしょう。ライブハウスやスタジオではだいたいこのマイクを採用してると思います。
また専用のケースもついてくるので持ち運びする人には便利ですね♪
ちなみにスイッチ無しと、スイッチ付きモデルがある。
【中級~上級】SHURE BETA58A
■ライブ用、簡単な録音用と幅広く使いたい人におすすめ
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「SM58」の上位モデルになります。
SM58との大きな違いは「超単一指向性」であること。SM58は後方からの音を遮断しますが、BETA58Aは側面からの音を遮断します。つまりボーカルの音を真中で的確に捉え、ハウリングの発生を抑えてくれます。
またダイナミックマイクの弱点である「繊細な音」はどうしてもコンデンサーより劣ってしまいます。しかしBETA58AはSM58からさらに感度が改良され、ダイナミックマイクにしては非常にレベルの高い集音が期待できるでしょう。
ただこのアップグレードで必ずしもBETA58Aの方が上!ということはありません。マイクは用途によって使い分ける必要があり、例えば叫ぶ系のジャンル(メタル系など)だとBETA58Aの感度は逆効果で、SM58の方が好ましいという場合もあります。
それぞれやりたい音楽に合わせて選んでください♪
定番コンデンサーマイク
コンデンサーマイクの初級~上級までを見ていきましょう!
【初級】RODE NT1-A
■とにかくコンデンサーマイクを使ってみたい人におすすめ
fa-thumbs-o-up抑えておきたいポイント!!
コンデンサーマイクといえば高価でプロ用となると数十万を余裕で越えてくるものもあります。
こちらはコンデンサーマイクの割に入手しやすい低価格。しかもポップガードとショックマウント、マイクケーブル、専用ポーチがセットでついてくるので初心者用としておすすめします♪
とりあえずこれだけでマイク周辺機器はスタンド以外全部揃います。
音質の特徴としては煌びやかなイメージですが低音域、中音域が弱い特徴があり、MIX時にボーカルがペラつく場合もあります。
初心者用としてコンデンサーマイクの勉強や、使ってみて慣れてきてから次のマイクを検討するという方にはちょうどいいかもしれないですね♪
【中級~上級】audio technica AT4040
■本格的な宅録用として使いたい人におすすめ
fa-thumbs-o-up抑えておきたいポイント!!
特にこれといった個性がないのが特徴です。
だからこそ音色の色づけをしないフラットな周波数で忠実に音を再現してくれるから、ボーカル以外にもギターやピアノ、管楽器と、マルチな対応ができるのは非常に便利。
オーディオテクニカの強みは「加工のしやすさ」です。
このマイクの最大のいいところは"自分好み"に色づけしていけるところでしょうか。可もなく不可もなく、中級者にとっては扱いやすいコンデンサーマイクかと。
【上級】NEUMANN U87Ai
■プロ用としてハイスペックを求める人におすすめ
fa-thumbs-o-up抑えておきたいポイント!!
プロのレコーディング現場では定番となっているハイエンドコンデンサーマイク。
NEUMANNはドイツに拠点をおいたマイクメーカーの老舗です。
アマチュアでは簡単に手が出せない価格で、やはりその性能はほとんどのコンデンサーマイクを寄せ付けない別格中の別格でしょう。プリアンプとの相性やセッティングも幅広い知識を必要とし、上級者用となっています。
・3つの指向性パターン(無指向性、カーディオイド、双指向性)
・ローカットスイッチ(不要な低音をカットするスイッチ)
・パッドスイッチ(マイクが受けられる音量以上なら10dbまで落として録音してくれるスイッチ)
さて、このマイク、肝心の音質はというと
「普通」です。
ただこの「普通」というのがとてつもない。
そのままの音を再現するというのが非常に難しいところをこのマイクは軽々とやってのけます。
管楽器や自然の音に対しても万能に対応でき、中でもボーカルにおいては超一流。曲中で最も目立たなきゃいけないボーカルをしっかり目立たせてくれる、まさに「プロの音」というものを簡単に出してくれます。
しかしプロの音が必ずしも"いい音"というわけではありません。極端な話、世界中の人がこのマイクを使えば同じ音質になってしまいますし、相性が悪い人もいます。マイクは使用する用途で使い分けるというのは前提に考えておいたほうがいいかもしれないですね。
っとはいっても素晴らしいマイクということは変わりありません(笑)
入門・レコーディングセットで全部揃う
宅録したいけど、機材を揃えるのが面倒、何を揃えたらいいのかわからない。という方にはレコーディングセットというものがあります。
レコーディングに必要な機材がセットになっていて、3万円前後から数千円という価格でも揃えることができます。
「とりあえずこれから宅録をはじめたい!」という方にはぴったりですよ♪
ダイナミック・コンデンサー早見表~まとめ
どれを選んでも間違いないという定番のものをピックアップしてみましたが、好みは人それぞれです。
とりあえずマイクがほしいという方でしたら無理して高いものは買わなくていいですし、低価格なダイナミックマイクでも上位機種ならそれなりの録音はできます♪
本格的な宅録を考えているなら、やはりコンデンサーマイクが無難でしょう。ただし防音環境や周辺機器が必要なことをお忘れなく♪