ボーカルを綺麗に録音したい!!っとなればまずはマイク選びです。
ボーカル録音用と言えば「コンデンサーマイク」は必須。
プロのレコーディング現場(ボーカル録音)ではほとんどがこのマイクを使用してるわけですが、種類は様々です。
しかし、そんな良いものを買っても何がどう良いのかわからなければ意味がありません。そもそもこの記事をご覧頂いてるということは、これから1本目を選ぼうという方がほとんどかと。ので、本記事では「ハイエンドなマイク」ではなく比較的リーズナブルで「質が良いもの」を厳選してみたいと思います。
では「初めてのコンデンサーマイク選び」ということで最初の一本目にふさわしいものと、必要な周辺機器をいくつかピックアップしてみたいと思います。
目次
コンデンサーマイクの特徴
コンデンサーマイクとはなんぞや?から説明します。
コンデンサーマイクは「音声やボーカルを録音する専用マイク」のことです。ちなみにカラオケにあるマイクのことを「ダイナミックマイク」と呼び、主にライブなどで歌声の音量を増大するために使います。
コンデンサーマイクをもう少し知るには「コンデンサーとダイナミックを比較」してみるとよくわかります。
コンデンサーとダイナミックの違い
コンデンサー | ダイナミック | |
形 | ||
音を拾う方向 | 無指向性※1 | 単一指向性※2 |
電源 | ファンタム電源※3 | 無 |
音量 | 大きい | 小さい |
価格 | 高い | 安い |
※1 無指向性とは?
「365度全方向」から音を感知して収音するタイプで、例えば会場全体の音を収音する時に使用したりします。
※2 単一指向性とは?
「正面方向」から音を感知して収音するタイプで、ボーカリストがライブで使用したりします。
※3 ファンタム電源とは?
コンデンサーマイクを使う場合マイクに「電源」を送らなければなりません。その電源は主にミキサーやオーディオインターフェースに備わっていて、そこからマイクに供給します。その仕組みを「ファンタム電源」と呼びます。
コンデンサーマイクがボーカル録音に適してる理由
コンデンサーマイクにもダイナミックマイクにもそれぞれの良い部分や悪い部分があります。
コンデンサーマイクがボーカル録音に適してる大きな理由は次の「メリット」に注目してください。
メリット | デメリット |
・ブレス(息)の音まで繊細に録音してくれる。
・小さい声でも音量を稼いでくれる。 |
・ダイナミックより繊細に扱う必要がある。
・準備するものが多い(スタンドやポップガードなど)
・防音設備が必要。
・持ち出しにくい。
・価格が高い。 |
メリット | デメリット |
・コンデンサーに比べ頑丈。
・準備するものが少ない。
・単一指向性で防音設備がなくても録音できる。
・ライブやちょっとした録音に使える。
・価格が安い |
・コンデンサーのように繊細な音は拾えない。
・コンデンサーに比べて音が荒い。
・十分な音量が得られない。 |
という感じです。
コンデンサーはダイナミックに比べて「繊細に録音」でき、音量も稼いでくれますが、録音する際に準備するものが多く宅録する場合は環境音もあるため「防音対策」が必要になってきます。
っとは言っても「ダイナミックマイクより綺麗に録音できる」ことは間違いありません。
ダイナミックとコンデンサーの比較詳細はこちらをご参考ください。
コンデンサーマイクに必要な周辺機器
コンデンサーマイクで録音するのに「必要な周辺機器」を見ていきましょう。
【必要な周辺機器】
スタンド |
ポップガード |
XLRキャノンケーブル |
ファンタム電源 |
ケース |
乾燥材 |
ヘッドホン |
防音設備 |
ざっくりこんな感じです。
では、一つずつ「なぜ必要なのか?」を詳しく見ていきましょう。
スタンド
コンデンサーマイクの特性である「繊細性」が仇となり「持ってるだけでノイズ(ハンドリングノイズ)」になってしまうため基本的にスタンドに立てて使用します。
またマイクの位置を定めることで安定した録音ができます。
ダイナミックマイクの場合は手持ちに強い設計となっているため不要。
ポップガード
強い息(ブレス)によるノイズをガードしてくれます。例えば歌ってるときに強い息をかけないようになんて考えてたら集中できないですよね。
またコンデンサーマイクは湿気に弱く「つば」が飛ぶだけでも故障の原因になるため、それらから守るための役割もあります。
XLRキャノンケーブル
XLRキャノンケーブルというのは、こういう形の端子です。
この端子でないとコンデンサーマイクに電源を供給することはできません。
使用する時は必ずXLRキャノンケーブルを使いましょう。
よく間違えてしまうケースが右(画像)のような端子を繋げて「音が出ない!」という場合。
ダイナミックマイクの場合は大丈夫ですが、コンデンサーマイクの場合はNGです。 |
ファンタム電源
コンデンサーマイクに電源を供給するもので、この「ファンタム電源」と「XLRキャノンケーブル」と「本体」は必ず必要になります。
他にもミキサーやMTR(マルチトラックレコーダー)にもこのような差し込み口があったりします。
ケース
コンデンサーマイクを買えばそれ専用のケースが付属してきます。
コンデンサーマイクは湿気に弱いためスタンドに立てっぱなしというような保管方法はNGです。必ず使用後はケースに入れて保管するようにしましょう。
乾燥材
これもコンデンサーマイクを買えばケースの中に入っているかと。湿気に弱いので必須。
私が初めてコンデンサーマイクを購入したときは入ってましたが、他のメーカーはわからないです。これは要確認。
ヘッドホン
「MDR-CD900ST」というヘッドホンでプロも使用するほど業界標準のド定番。価格も一般的です。
音が重なっても危なげなく聴き取ることができハッキリ明確、特に中音域に強く「ボーカル」「楽器」のチェックには最適です。
源音に忠実で「誤魔化しの効かない」フラットな音質になります。
このヘッドホンの詳細。
防音設備※宅録の場合
宅録のする場合は「環境音」が入ってしまうため防音対策が必要になります。例えば冷蔵庫の音や、車の音など。
だからと言ってガチの防音設備を整えるとなると膨大な費用がかかってしまう…
そこで登場するのがこれ。宅録用のリフレクションフィルターです。折りたたみ出来るものなら使わない時は閉まっておけるのでとっても便利。
「ケーブル/ポップガード/スタンド/リフレクションフィルター」がセットになったものもある。
コンデンサーマイクの接続方法
コンデンサーマイクの接続方法は少しややこしいので図を見て覚えておきましょう。
「マイク」から「ケーブル」を通り「マイクプリアンプ」へ。
そこから「インターフェイス」を通り「ヘッドホン」と「PC」へいきます。
上記で述べた必要な機器の他にも「オーディオインターフェイス」と「PC」が必要になりますが、もっと簡単に接続したい場合は「MTR(マルチトラックレコーダー)」をおすすめします。
MTRを使った場合は「マイク」→「ケーブル」→「MTR」のみで録音できます。
最初の1本目コンデンサーマイクおすすめ3選
最初の1本目は
「ある程度質が良いもの」
「リーズナブルな価格」
「初心者~中級者用」
あたりが無難かと。
以上の条件でおすすめできるコンデンサーマイクをピックアップしてみます。
【初級】コンデンサーマイクを知りたい人におすすめ
■RODE NT1-A
fa-thumbs-o-up抑えておきたいポイント
とりあえずコンデンサーマイクを知りたい使ってみたい!という人におすすめで本体のほかに「ポップガード/ショックマウント/ケーブル/専用ポーチ」がセットでついてきます。
これ一つでマイク周辺の機器はスタンド以外全て揃いお手頃価格。
音質は低音と中音域が弱め、高音域を得意とし煌びやかなイメージです。
【初級~中級】楽器の録音もしたい人におすすめ
■RODE NT2-A
fa-thumbs-o-up抑えておきたいポイント
NT1-Aの上位モデルで比較すると「単一指向性、無指向性、双指向性」の切り替えスイッチと、感度の切り替えができる「PADスイッチ」、さらには低域をカットしてスッキリにしてくれる「ハイパスフィルター」が装備され、より幅広い使い方ができるようになります。
指向性の切り替えができるようになることで例えばボーカルやアコースティック楽器の他にもラジオ収録をしたり、スタジオやステージなど通常の録音環境でない場所で録音するフィールドレコーディングなどができるようになります。
ちなみにNT1-A同様「ポップガード/ショックマウント/ケーブル/専用ポーチ」がセットでついてくるのでコスパもいい。
【中級】本格的に録音環境を整えたい人におすすめ
■audio technica AT4040
fa-thumbs-o-up抑えておきたいポイント
これといった個性がないコンデンサーマイクです。
っとだけ聞くと大したことないと思いますが、この「個性がない」という再現がとても難しい。音色の色づけをしないフラットな周波数で忠実。つまりそのままの音をそのままに伝えてくれるということ。そしてボーカル以外にもギター、ピアノ、管楽器とマルチに対応してくれるのがこのマイクです。※NT2-A同様「単一指向性、無指向性、双指向性」の切り替えが可能。
オーディオテクニカの良いところは「加工のしやすさ」にあり"自分好み"に色づけできるところ。
本格的に録音環境を作りたい方におすすめです。
コンデンサーマイク・周辺機器の早見表~まとめ
「コンデンサーマイク本体」と、それを使うために「必要な周辺機器」をまとめます。
コンデンサーマイク(最初の1本目) | |
RODE NT1-A |
初級
■こんな人におすすめ |
RODE NT2-A |
初級~中級
■こんな人におすすめ |
audio technica AT4040 |
中級
■こんな人におすすめ |
必要な周辺機器/理由 | |
MS205BK |
スタンド
・ハンドリングノイズを防ぐため。
・マイクの位置を安定させるため。
・落下防止。 |
PO-5S |
ポップガード
・強い息によるノイズをカットするため。
・ツバなどによる湿気を防ぐため。 |
ATL458A/3.0 |
XLRキャノンケーブル
・この端子でないとファンタム電源は供給できない。 |
48Vファンタム電源 |
ファンタム電源
・マイク本体に電源を供給するため。 |
0907-4 キャリーケース |
ケース
・使用後はケースの中に保管し湿気から守るため。
・スタンドに立てっぱなしはNG。 |
KMC-33S |
乾燥材
・コンデンサーマイクは湿気に弱いため。 |
MDR-CD900ST |
ヘッドホン
・録音したものをチェックするため。
・ボーカル録音は忠実(フラット)に再現してくれるものがいい。 |
RF-1 |
防音設備
・宅録の場合「環境音」を入れないようにするため。
・折りたため小さく収納できるものがいい。 |
最初の1本目は「無難」で「ド定番」でいいと思います。
定番になるということはそれだけ質がいいということですから、まずはコンデンサーマイクというのものに"慣れておく"ことも大事かと。
高価なものがいい!ということはありませんし、重要なのは「自分が満足いく音質」かどうかです。
好みは人それぞれですから、いろいろ試してみて「自分に合うもの」を見つけてください♪