子供のおもちゃピアノと言えばロールピアノ。あのクルクル巻けて、どこでも持ち運びでき、収納便利なピアノです。
一昔前では「ピアノとは別物」と言われていましたが、時代も進化しています。もしかすると「よりピアノに近いものになっているのでは?」っと。
そんな期待を込め、実際購入して検証してみることに。
本記事ではその体験記録と共にロールピアノが「通常ピアノとどう違うのか?」を比較していきたいと思います。
目次
そもそもロールピアノって何?「特徴」
このピアノの売りは、その名の通りロール(巻くことが)できるピアノで、ビニール製となっています。
みなさんがよく知るピアノ(電子ピアノやグランドピアノなど)は大きく、そして重いイメージですが、ロールピアノはコンパクトに巻くことができ子供でも持てる重さです。
また、ものによっては100種類以上の音色を装備したものや、録音機能があるものもあります。
では次に通常ピアノとの違いを見ていきましょう。
ロールピアノと通常ピアノとの違いは?「比較」
結論から伝えておくと、やはり「ピアノとはまったく別物」です。しかし「大人でも楽しめるおもちゃ」としてなら優秀。
ピアノの練習にはならないので、ピアノ初心者よりも、ある程度弾ける人におすすめです。たとえばアウトドア(ピクニックやキャンプ)など、電源のない場所でも演奏でき、持ち運びも簡単です。
ですので、ロールピアノが必要かどうかは用途次第ということになります。
ではもう少し詳しく通常ピアノ(ここでは電子ピアノ)との違いを比較していきましょう。比較するものは以下の3項目。
- サイズ
- 重さ
- 音色の種類
- 鍵盤タッチ(弾き心地)
サイズを比較
ロールピアノ | 手の平サイズ(最小) |
通常ピアノ | 1.4m~1.5m |
ロールピアノを広げたとき鍵盤数が通常ピアノと同じなら横幅はさほど変わりません。しかし、ロールピアノはビニール製のためクルクル巻けば手のひらに乗るサイズまで縮小できます。
また鞄に入れて持ち運ぶことも、狭い部屋でも問題なく収納しておけのもロールピアノの特徴と言えます。
重さを比較
ロールピアノ、通常ピアノ、両者88鍵盤で比較してみます。通常ピアノの足は含みません。あくまで本体のみの重量とします。
ロールピアノ | 1.3~1.6kg |
通常ピアノ | 12kg~16.4kg |
約10倍もの差があります。
ちなみに重さの比較をほかで例えると、ロールピアノは牛乳1000mlパックや電話帳ぐらいで、通常ピアノはスイカMサイズ三つ分や、スーパーのお米(5kg)三つ分ほどです。
ロールピアノは子供でも持てますが、通常ピアノは大人の男性でもかなり重く感じます。
音色の種類
音色とは同じ音の高さでも、音の質(表現)が違うものを言います。例えばピアノとバイオリンでは音色が異なるので違った聞こえ方がしますよね。他にも木琴や鉄琴、フルートなども違います。
この楽器特有の音色がどれだけ本体にサンプリングされているか?っが音色の種類になります。
では比較してみると
ロールピアノ | 100種類以上 |
通常ピアノ | 10~30種類 |
ロールピアノは音色の種類が多く、シンセサイザー(音源)に近い。(ただしロールピアノで音源を作ることはできない)
※シンセサイザーとはあらゆる音源を鍵盤で操作する楽器のことで、音源を合成して作ることもできる。
シンセサイザーについてはこちらの記事をご参考ください。
一方電子ピアノは生ピアノに近づけるために作られたものですから音質においてはリアルなものが多い分、音色はおまけ程度になります。
鍵盤タッチ(弾き心地)を比較
鍵盤タッチとは鍵盤を押したときの「重さ」です。軽過ぎず重過ぎない、グランドピアノ独特のクリック感がどれだけ表現されているかが重要になってきます。
っでこの鍵盤タッチの比較ですが、残念ながらロールピアノは鍵盤がシリコンである故「タッチ感0」です。電子ピアノにおいてはピン切りですが、グランドピアノのタッチ感を再現してくれます。
これが「ピアノとは別物」と言われる最大の理由でしょう。(ロールピアノの鍵盤タッチについては体験談と共に解説します)
ちなみに10万円以上の電子ピアノであれば、グランドピアノに近いタッチ感で弾き心地も悪くありません。
家電量販店で弾き比べることができるので機会があれば弾き比べてみてください。
ただロールピアノにおいて「別に音さえ鳴ればそれでいい」っということでしたらタッチ感は無視してもいいかと。
比較まとめ
サイズ | |
ロールピアノ | 手の平サイズ(最小) |
電子ピアノ | 1.4m~1.5m |
重さ | |
ロールピアノ | 1.3~1.6kg |
電子ピアノ | 12kg~16.4kg |
音色の種類 | |
ロールピアノ | 100種類以上 |
電子ピアノ | 10~30種類 |
鍵盤タッチ(弾き心地) | |
ロールピアノ | 悪い |
電子ピアノ | 良い |
結局は「何に使うのか?」次第になるので良し悪しは用途次第になります。
生のピアノを再現したいなら電子ピアノですし、気軽に持ち運べて収納も便利、おもちゃとして使いたいならロールピアノを選べばいいと思います。
私は家庭用で電子ピアノ、持ち運び用(遊び用)でロールピアノと使い分けています。カラオケにロールピアノをもっていき音源と一緒に弾くのも結構面白いですよ♪ロールピアノならスマホアプリと違って音量も出ますから。
実際にロールピアノを買って弾いてみた「体験してわかったこと」
購入したのはSmalyのロールアップピアノ88鍵。
サイズや重さ音色の種類は調べればすぐにわかります。しかし実際に弾いてみると予想外のこともわかりました。
ここでは体験談からわかる以下の4点を検証してみることに。
- 本当に手の平サイズになるのか?
- 音色の質は?
- 本当に鍵盤タッチは悪いのか?
- 和音はちゃんと音が出るのか?
- ロールピアノは必要か?
本当に手の平サイズになるのか?
広げると「約長さ137×幅21.5×厚1cm」で通常88鍵ピアノと変わらないサイズです。では本当に手の平サイズになるのか巻いてみると
横はティッシュ箱より少し大きく、縦は同じぐらい、重さは1235gと片手でも余裕で持てるので手の平サイズ(大人の手でギリギリ)で間違いありません。これならだいたいの鞄に入りますし持ち運ぶのも簡単です。
テーブルに敷いても裏面がゴム(多分)なので強く弾いても滑ることはありませんでした。
ここで予想外だったのが「ペラペラではなく意外にしっかりした作りだったこと」
音色の質は?
ピアノの音色においては電子ピアノ以下、子供のおもちゃピアノ以上といったところでしょうか。ですから大人でも楽しめる音質であることは確かです。
予想外だったのが「その他の音色(管楽器、弦楽器など)が予想以上に質が高いもの」だったということ。っといっても私自信あらゆる楽器に詳しいわけではないのであくまで素人の耳で聞いた感想とします。
ロールピアノは音色の種類も多いので遊び倒しましたよ♪ピアノの音色は気にせず「あらゆる楽器の音色を楽しむもの」としても使えます。使いこなせばスピーカーにつないでセッションぐらいなら可能でしょう。
本当に鍵盤タッチは悪いのか?
これが正面から見た写真。見た目は悪くなく、通常ピアノそっくり。
では黒鍵の凹凸はどうでしょう?横から撮影したものがこれ。
黒鍵の高さは通常ピアノの1/3ぐらいですが、さすが現代のロールピアノ、少しでもピアノに似せようと一応凹凸があり「ピアノを弾いている感」は多少あります。
鍵盤タッチはというとシリコン素材になっておりゴムを押している感じです。ですので「鍵盤タッチは通常ピアノとは別物」になります。初めての人は違和感大でしょう(笑)
慣れるまで時間がかかるとの口コミはありましたが私の場合1時間ぐらい(個人差はある)で慣れたので「通常ピアノとは違う楽器」と思えば苦ではありません。
あと、ピアノが弾ける人なら多少練習は必要ですが、それなりの演奏は可能です。
和音はちゃんと音が出るのか?
和音対応のロールピアノでしたら通常ピアノのような和音演奏が出来ます。今回購入したロールピアノも和音対応なので問題なく弾ける…っと思いきや、思わぬ予想外が。
なんとロールピアノは「思いのほか強く押さないと音が出ない!」という検証結果に。
単音の場合はさほど問題ありませんが、左右の手で同時に発音させるには「すべての指をある一定の力以上で押さなければならない」という。特に小指は力が弱いので通常ピアノなら鳴っているはずがロールピアノでは力が弱すぎずセンサーが反応しないこともあります。
ですから通常ピアノの感覚より、やや強めに押すことがポイント。っでこれが地味にしんどかったりもしますが、慣れればだいたいの力加減は身についてくるので頑張ってみてください。しっかり押せばきれいに聞こえます。
ロールピアノは必要か?
何度も言いますがロールピアノは用途次第になるので「向いている人」「向いてない人」を簡単にまとめておきます。
- 外に持ち出して気軽に演奏したい人。
- 家に置く場所がない人(ただし本格的に弾きたい人には向いていない)
- 子供でも大人でも遊べるおもちゃとしてほしい人。
- ピアノ練習用ではなくボイトレとして使いたい人(音は正確だから)
- 本格的に練習したい人。
- 音質やタッチは生ピアノに近い方がいいと思う人。
- これからピアノを始めたい人(ロールピアノより電子ピアノがおすすめ)
「向いている人」に該当した場合はロールピアノがおすすめです。
ではどんなロールピアノがおすすめか?というと予算は1万円少しかかりますが今回購入した「Smalyのロールアップピアノ88鍵」で十分な機能が揃っているのでおすすめかと。予算に1万円もかけられない!のでしたら同じ機種の鍵盤数を61鍵にすれば低予算でも入手できます。子供はもちろん大人でも楽しめるものとなれば、無難な価格ではないでしょうか。
Smalyのロールアップピアノ88鍵
本機のスペックをまとめます。
サイズ | 横137cm 幅21.5cm 厚1cm |
重さ | 1235g |
デモ曲 | 30曲 (一部抜粋) Radiant Night on the Grassland Good day Liuyang River |
機能 | 音色140種類 音量コントロール機能 テンポコントロール機能 録音機能 節電機能(3分間操作がないと自動的にOFF) フットペダル付き(88鍵限定) USBコード付属 スピーカー内蔵 和音対応(両手で演奏可能) 黒鍵凹凸あり(高低差) |
電源 | リチウム電池内蔵 充電時間3時間 フル充電で約8時間稼働 USB充電タイプでどこでも充電できる 充電しながらの演奏も可能 |
その他 | プレゼント用にも最適 |
良かった点
- どこでも持ち運べて音楽が楽しめる(ピクニックで演奏してみたり)
- 黒鍵の凹凸がピアノらしさを感じた。
- 音色140種類が思いのほか遊べる。
- 録音機能を活用して一人セッションができる。
- サスティーン機能をONにすればフットペダルを使わなくてもイイ感じにしてくれる(床に座って弾く時や、ペダル操作が出来ない人でも安心)
悪かった点
- ピアノの練習には使えない。
- 和音を綺麗に鳴らすコツをつかむまでに時間がかかる(力が弱いと反応しない)
- 通常ピアノとは別物(ただし、そういう楽器だと思えば苦にはならない)
- 音色140種類から目的のものをすぐ選択できない(例えば70番の音色を選択したい時、1番から手動で押し続けなければならないのが地味に面倒)
ロールピアノの注意点「初心者の練習用には使えない」理由
悪かった点でピアノの「練習には使えない」理由を伝えておきます。
理由はいくつかありますが特に致命的な理由は「黒鍵の高さ」と「鍵盤を押す力」が通常ピアノと大きく異なる点からピアノの練習には不向きと言えます。
特に初心者の方で、これからロールピアノで練習しようとする人は要注意です。
黒鍵の高さが違う違和感
本記事で紹介したロールピアノには黒鍵の凹凸があります。確かにピアノらしさは感じますが通常ピアノと比べるとやはり高さが全然足りません。
低い黒鍵で慣れてしまうと、いざ通常ピアノで弾いた時の違和感は大!「黒鍵が異様にひっかかる」ことに気付くと思います。
もともと通常ピアノで練習していた人ならすぐ感覚を取り戻せますが初心者の方だとロールピアノが本物で通常ピアノが偽物という感覚になるかと。これでは練習用として適切ではありませんよね。
鍵盤を押す力が違う違和感
通常ピアノは軽く押しただけで音はでますが、ロールピアノは「強い力」でないと音はでません。それは鍵盤内のセンサーを反応させないといけないからです。ただし強い力といっても通常ピアノの鍵盤と比べてで「気持ち強め」というぐらい。
しかし本来ピアノは脱力して指をスムーズに動かすことが重要になるので強い力で押すことに慣れてしまうと「余計な力が入る癖」がついてしまいます。
また指を早く動かす練習もセンサーが反応しきれず音が鳴らなかったりもするので指練習用としても適切とは言えません。
練習用で買うなら通常ピアノがおすすめ
わざわざ「ロールピアノ→通常ピアノ」と遠回りする必要はありません。理由は説明した通りで、練習用として買うなら通常ピアノを検討したほうが変な癖もつかず早く上達できると思います♪
電子ピアノの選び方についてはこちらでまとめていますのでご参考ください。
まとめ
今回の比較、ロールピアノと通常ピアノは「全然違います」
そして通常ピアノの練習用には「使えない」
さらにロールピアノが必要かどうかは初心者の方も経験者の方も「用途次第」で楽しめるものです。
私は練習用でなくロールピアノにマッチした遊び方で楽しんでいます♪